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読み物愛犬なっつとの暮らし

DOGGARDEN盛岡 代表上野祐輔さん

愛犬なっつとの暮らしを振り返る

私がなっつに初めて出会ったのはすでになっつが成犬になってからでした。初めて私が勤めた職場のお客さんのワンちゃんでした。大好きなボーダーコリー!甘えん坊で最高に可愛い!自分からこの子の担当をやってみたいと先輩に伝え、なっつのトレーニングをするようになりました。

しかし当時のなっつは賑やかな外の環境に怯える、他人の来店に吠える、他犬に吠える、車を追い抜き軽い正面衝突で頭に怪我を負うetc…当時新人トレーナーだった私はただただ「大変だぁ…」と感じておりました(笑)なっつ目線で考えると笑い事ではないですね。

諸々の事情でもうすぐなっつが2歳になる頃、私がなっつを引き取り飼い主となりました。

この時点での私となっつの将来の課題は先輩達のように愛護センターや病院、山で開催されるイベントステージでのダンス、県内外で開催されるしつけ方教室のデモンストレーション、地域の大通りでの仮装パレードetc…なかなかハードなものでした。

当然ながら大人数の他人が私達を囲み、何十頭もの犬達が目の前にいる環境で私とのコミュニケーションを優先してもらえるようにするには沢山の社会化トレーニングを行い、時にはなっつに無理を強いてしまっているのではないか?と感じ、反省することも少なくありませんでした。

私と暮らし始めて2年ほど経った頃には、なっつは大体どんな環境でも私とのコミュニケーションを楽しみ、周囲の他犬を受け入れ始め、他人にも自発的に関わりを求めるようになってきました。

2018年盛岡で開業し、現在に至るまでなっつの存在なくしては何も形にすることはできなかったと思います。なっつの存在が私を成長させてくれたのだと心から感じます。元々人前に立つことすら苦手で、話をすることなんていつ出来るようになるのか?というくらい自信がなかった私。なっつの成長と共に、イベントで私たちのダンスやレッスンを観た方々から「凄い!」「こんなことができるの!?」「素敵な関係!」と沢山の嬉しいお言葉を頂くようになりました。

気付けばなっつと一緒なら緊張せず楽しめる自分に成長していました。何よりその頃にはなっつが楽しんでくれていたことが心の底から嬉しかった。自宅でなっつと一緒にグダグダしたり、遊び、散歩に行く普通の生活が本当に幸せでした。浅い言葉にはなってしまいますが犬達の力はすごいですよね。

そんななっつも実のところ去年の8月に病気で虹の橋を渡りました。最期の最期までなっつからの学びは多く、深く、私の人生に彩りを添えてくれました。

なっつの体が少しずつ弱って、私がなっつを補助する生活が始まった時、今までのなっつとの暮らしの答え合わせをされている感覚になりました。

まず要求の仕方、犬達との暮らしで『小声』に気付いて会話をすることを意識していました。お水が欲しくなるとまず前足を動かして私の視線を向け、目線を水の入った食器に向けるのです。私はすぐにお水の食器を顔の近くに持っていき飲ませます。

排泄がしたいときはじ~っと扉を見つめます。
とにかく様々なシチュエーションでなっつが『大声』(吠える、無理して立ち上がる等)で要求することはありませんでした。きっとなっつは私達になら「この程度の要求で気付いてくれる」という信頼があったのではないかと感じるのです。

一昔前は『要求行動は基本無視』という方法が世に出回っていたこともあります。行動学的には要求行動にメリットが出ないので徐々に減っていくというシンプルな仕組みだったのですが、仮にその方法で要求が減ったとしても犬達は「もう飼い主はコミュニケーションが取れなくなったんだ、諦めよう」というとても悲しい学習をしているのです。

要求行動に対して犬達が嫌がる嫌悪な刺激を与えるという方法は直接的に信頼がなくなりますね。

この要求を無視する、要求に罰を与えるという方法を私がなっつに与えていた場合、『小声』で伝えるということはなかったと思うのです。

もう1つは、私の言葉や体の合図に自発的に応え動いてくれたこと。例えば、普段から「触るよ」や「手をかけて」という言葉の合図をかけてから触ったり、抱っこをする習慣がありました。なっつからすればその合図が聞こえた後、次の起こることを予測しているので自分の行動を選ぶことができます。触られたくなかったらその場を離れたり、顔をそらせば触られないということです。少し元気な時にはそのような合図で自発的に膝の上に乗ってきたなっつを抱き上げトイレに連れて行くこともありました。多くの場合なっつは自発的に私との関わりを選んでくれました。全身を触られることに良い印象を持ってもらう為のトレーニングからくる信頼関係が為すものなのではないかと感じます。

今までなっつと一緒に積み上げてきた沢山のコミュニケーションツールがこの素敵な時間をつくったのだと思います。

非言語コミュニケーションを持つ『犬』は私達の予想をはるかに超える知性と愛情を持っています。

なっつとの暮らしは私の一生の宝物になりました。

私となっつの暮らしからほんの少しのエピソードをお伝えさせて頂きました。少しでも皆さんと愛犬の暮らしに役立てればと思います。

最後に

今回このような機会を下さった藤田さんに心から感謝申し上げます。現時点での私の犬達との向き合い方を掘り下げて考えられる良い機会となりました。もっと早くやっておくんだった(笑)

あくまで本内容は私個人の考え方です。拙い文章で理解しにくい部分も多々あったことと思いますが最後まで目を通して頂き感謝申し上げます。

また明日から多くの飼い主さんと犬達のため全力で頑張りますね!!

GOGGARDEN盛岡 代表 上野佑輔

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