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読み物ルールづくりについて

DOGGARDEN盛岡 代表上野祐輔さん

ルールづくりについて

基本理念

 『飼い主』『犬』『社会』の3方が暮らしやすい、受け入れやすいルールをつくること。

私達飼い主は共に暮らす愛犬と多かれ少なかれ何らかのルール(お約束)をつくって暮らすことになります。 このルールが一切ない状態では共生はとても難しいものになるかと思います。想像してみてください、犬達がしたい行動全てに制限がない暮らしを…。リードやサークルも使用せず、お散歩に行きたければ自分で玄関を開けてお散歩に出かけることができる。お腹が減ったり、喉が渇いたらキッチンに行けばフードや水が常に常備されている。外に出て走っている人間や車、バイクを見かけたら本能のまま走って追いかける。遊びたくなったら近所に係留されている犬に遊びを仕掛ける。近づいてくる好ましくない人間や犬がいたら吠えかかる。いかがでしょうか?

このように人間が介入することのない、ルールのない暮らしでは飼い主との暮らしはおろか、地域に受け入れられない状態になってしまいます。犬達も人間社会に多数存在する危険を経験からしか学ぶ方法がなく、車に轢かれたり、悪いものを拾い食いしたり、心無い人間から痛い目に遭わされたり、最悪の場合命を落とすことになるかもしれません。

一見すると犬達に多くの『自由』を与えることが犬達の幸せに繋がるように思えますが、実際に考えてみると自由を与えすぎることで周囲の社会から受け入れられず、飼い主の要望に応えるメリットを知らず制御不能、共生ができずに保健所へ…なんてことにもなるかもしれません。極端な例ですが、自由すぎると犬の世界を狭めることになるということを皆さんにお伝えしたいのです。

そこで私がお勧めするのは。『社会が受け入れやすいマナーの良い犬達を育てる』ということです。社会というのは第三者の集まり、マナーというのはお行儀が良いということ。つまり第三者から見てお行儀の良い犬達を育てるという目標です

マナーと聞くと自由を制限するイメージがありますが、実のところその逆であると考えています。マナーが良いと自由度が広がるのです。

私は盛岡での独立開業の準備として、市内の情報を集めるべくなっつを連れて街中をうろうろしていました。大通りを散策中に路面店の多くの店員さんに話しかけられなっつを可愛がって頂きました。初対面の人が急に寄ってきたにも関わらず、私の隣で座って落ちつているなっつを見て 「お利口だね♪この子だったらうちのお店一緒に入って見てっていいよ!」と声をかけて頂くこともありました。プライベートで仲良くさて頂いている飲食店のマスターさんにも「1度連れておいで♪」とありがたいお言葉を頂き、同伴したこともあります。私の足元のマットでフセをして落ち着き、店内のお客さんに近づかれても座って尾を振るなっつの姿に「この子ならいつでも連れておいで♪」と言って頂きました。

私は確信しました。犬達のマナーが良いことで犬達を受け入れてくれる社会が広がることを。もちろん犬達のマナーが良いだけではなく、連れている飼い主のマナーも重要。他人に飛びついたりしないよう管理をしたり、毛が店内に散らないように服を着せたり、排泄をしてから入店したり、近くを通る人が気にしているようなら手元に呼び戻して道を開けたりetc…その環境を安心して過ごすことのできる社会性も大切ですね!

ではそのマナーはどのようなルールを設けることで身に付くのでしょうか?

結論:①十分な社会化②資源の管理③学習④ギャップをつくらない暮らし上記4点を大切にして頂きたいのです。

①十分な社会化

こちらに関しては特に説明も要りませんね!犬達目線で暮らしている環境に危険がないことを教えてあげましょう。ルールを求めるのはその後です。

②資源の管理

資源とは?犬達が必要としている全ての物事です。
例えば ・ごはん ・飼い主さんの膝 ・匂い嗅ぎ ・おやつ ・スリッパ ・他人への挨拶 ・水 ・ガム ・飼い主の関心 ・おもちゃ ・リード ・なでなで ・ベッド ・お散歩 ・抱っこ ・バスタオル ・他犬との挨拶、遊び ・安心、安全 etc…
その子によって様々ですね♪

これらの資源を管理(勝手に得られない、要求で与えない)して飼い主側の要求(望ましい行動の合図)に応えることで手に入る。というルールをつくるのです。こうすることで『飼い主の要求に応えるメリット』を伝えることができます。※水や、ふかふかベッド、噛む欲求を満たすおもちゃ等最低限のニーズを満たす物は与えておく必要があります!本トピックの最初に述べたような自由すぎる暮らしをさせていると生活に必要な資源をある程度自分自身で手に入れることができるので、飼い主の要求に応えるメリットを学習することが難しくなります。飼い主の要求に応えることは時に犬の命を救うことに繋がります。飼い主の価値を高めることでルールを伝えやすくなるのです。

犬の要求行動については沢山お話したいのですがそれはまた次回機会がありましたらお話しさせて頂きます。1つ言えることは『要求を無視』は上手くいきませんよ♪

③学習

私達が望んでいる行動を教える必要があります。正の強化を主体としたトレーニングを推奨します。飼い主さんが望む行動を教え。教えた行動をその犬達が経験するであろう社会における様々なシチュエーションでもできるように繰り返しトレーニングします。何度もお伝えさせて頂きますが、人が伝えなければ犬達自身でお利口になることはありません。

④ギャップをつくらない暮らし

ここで扱うギャップとは『普段犬に与えているルールと、本番で犬に求めるルールの差』と定義します。例えば、日頃からお散歩中の匂い嗅ぎ、他人、他犬への挨拶を飼い主の許可なく、犬がリードを張るのについていきそのまま与えるルールを提供しているとする。ある日犬がリードを張った方向には小さな子供が遊んでいる、赤ちゃんを抱っこしたお母さん、チョコレートの包み紙、怖がっている犬のいずれかの刺激があった場合、きっと飼い主さんはその犬のリードを止めるだろう。ここで犬が思うのは「普段は僕がリードを引っ張ればOKだったのに!なんで今はダメなの!!」というフラストレーションだと思います。このストレスから飼い主に飛びつき、リードを噛み、服を引っ張り、吠える犬達もいることは確かなのです。

これは『自分の思う通りにいかない』ことに対するストレスです。普段犬に求めているルールと、本番で求められたルールに大きなギャップがあったのです。

この言葉は曖昧であまり使いたくはないのですが、わがままにさせているとストレスを抱えやすい犬になるということです。ですからその犬達に本番で求める望ましいルールは普段から求める必要があるということです。

今回の例の場合、普段から匂い嗅ぎ、他人への挨拶のために犬がリードを張っても、リードを止めて、飼い主の要求(おいで、お座り等、アイコンタクト推奨)に応えることができたなら与えてあげるルールをつくる。その対象の資源を与えることができない場合は飼い主についてくる行動に報酬を出すことで諦めてもらうことも必要でしょう。このようなルールを普段から求めることで本番に求めるルールとのギャップが小さくなり思い通りにいかないことに対するストレスが軽減します。

このギャップのお話は普段のスキンシップや、自由と管理の時間にもよく当てはめて考えられるかと思います。

これらが全てではありませんが特に私が意識していることをご紹介させて頂きました。犬達のストレスを軽減し、マナーの良い犬達を育てることにつながるのではないでしょうか?

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